TOPICS  『沖縄・渡名喜村教育長ら3人逮捕 官製談合防止法違反などの疑い』(沖縄タイムス)について

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『沖縄・渡名喜村教育長ら3人逮捕 官製談合防止法違反などの疑い』(沖縄タイムス)について

2016.12.03

本日は、こんな記事をピックアップしてみました。

 

「沖縄・渡名喜村教育長ら3人逮捕 官製談合防止法違反などの疑い」(沖縄タイムス 2016年12月2日 20:22)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/73983

 

● 官製談合防止法とは ●


 

官製談合防止法(正式には、入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の 公正を害すべき行為の処罰に関する法律)とはどういう法律なのでしょうか。

入札談合は、自由な競争を害する行為であり「不当な取引制限」として独占禁止法で禁止されているところ(https://www.jftc.go.jp/ippan/part2/act_03.html)、

入札談合等関与行為とは、国などの発注機関の職員が、受注者に関する意向表明や発注に係る秘密情報を漏えいするなどの「働きかけ」を行い、入札談合などに関与する行為(いわゆる官製談合)を指します。

 

官製談合防止法は、そのような官製談合について、

1.発注機関である国の調査等の行政上の措置
2.関与職員に対する損賠賠償請求等の措置
3.職員の懲戒等の措置

に加えて、

4.入札等の公正を害すべき行為を行った職員に対する刑事罰

を規定し、国等の職員による官製談合を防止しようとしているのです。

 

ところで、入札等の公正を害すべき行為を行った職員に対する刑事罰については、

職員が、その所属する国等が入札等により行う売買、貸借、請負その他の契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行ったときは、五年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金に処する(第8条)

 

とされています(なお、独占禁止法との関係ですが、必ずしも独占禁止法に違反する行為を前提とするものではなく、実際に談合が行われなくとも処罰されるとされています)。

 

● 公契約関係競売等妨害罪(刑法96条の6)とは ●


 

今回は「入札に関する情報を事前に業者に漏らした」とされているので、上記8条違反に加え、公契約関係競売等妨害罪(刑法96条の6)という容疑もあるようです。

刑法第九十六条の六  偽計又は威力を用いて、公の競売又は入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に      処し、又はこれを併科する。
2  公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で、談合した者も、前項と同様とする。

 

● 最後に ●


 

上記は、主に官製談合に関与した公務員(職員)の刑事リスクという観点からの説明になります。

しかし、事業者の皆さん、

談合等の誘惑は常々あるかと思いますが、談合等の話を持ちかけた(持ちかけられた)事業者の皆さんには、独占禁止法違反リスクがあり(今回の事業者さんには刑法96条の6違反というリスク)、それには、民事・刑事・行政上のペナルティの可能性がある旨、念頭に置いてくださいね。

また、談合等の嫌疑をかけられ代表者等が逮捕されてしまった事業者としては、既存の取引の継続性の可否(具体的には、個別の請負契約を解除されるリスク、新規の取引の見送られるリスク、また、JV方式で受注をしていた場合の契約解消リスク及び損賠リスクなど)を現実的に想定し、今後の事業活動への影響も視野に入れる必要があるでしょう。

 

 

 

弁護士 仲宗根朝洋