TOPICS  「写り込み」と著作権法

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「写り込み」と著作権法

2016.12.08

昨日は、まとめサイトとの関係で著作権法について本ブログに投稿しました。

投稿といえば、SNS。私はfacebookユーザーです。

そんなfacebookなどのSNSの使い方ですが、仲間で写真を撮り、SNSにアップするなんてこと、頻繁にありますよね。

忘年会シーズンですから、職場仲間と一緒に「カシャ」&「アップ」&「いいね」と。

ところで、著作権で保護される絵画などが写り込んでしまってた仲間との写真をSNSでアップロードして公開する場合、著作権法上、どのような問題があるのでしょうか。

最近、友人と飲んでいて、そのような質問をされましたので、本ブログにてお答えします。

結論から言えば、著作権法上、問題はないと思います。

理由については以下に。

1.まず、仲間との写真に写り込んでしまったという絵画が著作権の対象となる著作物とされています。

2.そして、この絵画の写真を撮る(写ってしまう)=「複製」にあたり、絵画が写り込んだ写真をSNSでアップロードして公開する=「公衆送信」にあたります。

3.そのため、上記「複製」「公衆送信」に該当する行為については、絵画の著作(権)者の許諾を得る必要があるところ、通常はそのような許諾はありません(=著作権侵害)。

4.しかし、著作権法30条の2は、次のように規定しています。

(付随対象著作物の利用)
第30条の2 写真の撮影,録音又は録画(以下この項において「写真の撮影等」という。)の方法によつて著作物を創作するに当たつて,当該著作物(以下この条において「写真等著作物」という。)に係る写真の撮影等の対象とする事物又は音から分離することが困難であるため付随して対象となる事物又は音に係る他の著作物(当該写真等著作物における軽微な構成部分となるものに限る。以下この条において「付随対象著作物」という。)は,当該創作に伴つて複製又は翻案することができる。ただし,当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該複製又は翻案の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は,この限りでない。
2 前項の規定により複製又は翻案された付随対象著作物は,同項に規定する写真等著作物の利用に伴つて利用することができる。ただし,当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は,この限りでない。

 

要するに、仲間との写真撮影の際、絵画が写り込み、その絵画とともに仲間との写真を撮影した行為は、厳密にいえば絵画を避けて写真を撮ることができたとしても、通常はそのようなことはしないし、期待されていないし、かつ、絵画がたままた写り込んでしまったという程度では絵画の著作権者の利益を不当に害することもないはずなので、上記第30条の2第1項本文により、著作権侵害(複製権侵害)にはなりません。

また、絵画が写り込んでしまった仲間との写真をSNSでアップロードして公開する行為についても、通常は、絵画の著作権者の利益を害するようなことは想定できないので(絵画がメインであり、絵画の知名度や集客力を殊更利用したような写真の使い方であれば別でしょうが・・・)、上記第30条の2第2項により、著作権侵害(公衆送信権侵害)にはなりません。

5.以上より、今回のような行為は、著作権法第30条の2により、著作権侵害には該当せず、問題ないということになるのです。

 

文化庁のHPに参考となるようなサイトがありましたので、さらに興味のある方はご参照ください。

http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/utsurikomi.html